大成建設株式会社
設計本部 設備設計第三部長 渋谷大介 氏
設計本部 設計戦略部 クリエイティブ・デザイン室長 クリエイティブディレクター 山﨑信宏 氏
設計本部 設備設計第三部鈴木室プロジェクト・エンジニア 信藤邦太 氏
グリーンファクトリーEXPO 事務局 RX Japan
2023年3月30日
大成建設株式会社
設計本部 設備設計第三部長 渋谷大介 氏
設計本部 設計戦略部 クリエイティブ・デザイン室長 クリエイティブディレクター 山﨑信宏 氏
設計本部 設備設計第三部鈴木室プロジェクト・エンジニア 信藤邦太 氏
グリーンファクトリーEXPO 事務局 RX Japan
2023年3月30日
記念すべき第1回目として2023年1月に開催された「グリーンファクトリーEXPO ー脱炭素・サステナブル工場の実現へー」展。今回は、省エネ基準ZEB認証で最高ランクを獲得し、年間で消費する一次エネルギー収支ゼロを目指すZEFを世界で初めて採用した沖電気工業様のフラッグシップ工場「OKI本庄工場H1棟」の建設も記憶に新しい、大成建設株式会社の 渋谷大介 氏、 山﨑信宏 氏、 信藤邦太 氏に、展示会の構成や展示会を終えての感想などをお聴きしました。
ーこのたび「第1回グリーンファクトリー EXPO」にご出展いただきましてありがとうございました。あらためて具体的にどのような展示だったか、またPRのポイントなどがあればお伺いしてもよろしいでしょうか。
山﨑 そうですね、今回は、例えば「ロボット〜」のように具体的なキーワードがあるものではなく、「グリーンファクトリー」という大きなテーマだったこともあり、“グリーン”という言葉をどう解釈するかが重要になると思いました。そこで我々は、その“グリーン”というキーワードを単なる色や環境的な側面だけではなく、もっと総合的に捉えて展示を構成しました。
具体的にいうと、これからの生産施設、モノづくり施設というものは、地域に悪影響を及ぼさないというのは大前提ですが、それだけでなく施設で働く人、地域に暮らす人々の誇りになるような施設でなければならないと思っています。そこで、展示会自体のメインの主題である「脱炭素・カーボンニュートラル」に、「ウエルネス」と「スマート」を加えた、3つのテーマを掲げて出展しました。
ー実は、「グリーンファクトリーEXPO」には"脱炭素、サステナブル工場の実現”というサブタイトルが掲げられていまして、「サステナブル」という言葉は環境以外の側面も多分に含んでいることもあり、まさに大成建設さんの展示は、そういった観点でもこの展示会にぴったりな内容だったと思います。
山﨑 やはり「脱炭素」というのは今や社会の最大の課題ですので、それを置き去りにすることは絶対にできませんが、脱炭素を促進するにあたって、人間がずっと我慢を強いられ、窮屈な状態でいることは、ある意味不健全な状態だとも思っています。だからといって人間中心に考え過ぎるあまりに地球環境を無視してしまったら、今度は地球が健全ではなくなってしまう。
ですのでこれからは、人と地球の両方を考えながらモノづくりをしていくことが大切になってくる。そしてそれは、弊社のグループ理念でもある「人がいきいきとする環境を創造する」というところにも通じるものなのかなと思います。
ー「カーボンニュートラル」「ウエルネス」「スマート」という3つの柱を掲げられたとのことですが、具体的にはどのような展示構成にされたんでしょうか。
山﨑 その3つのテーマを柱に、6つのカテゴリーで展示を構成しました。
我々は、工場に特化したエネルギーの評価指標を持って工場の建設をしているので、1つはファクトリーというワードにストレートに応える意味で「ゼロエネルギーファクトリー」というカテゴリーです。そして2つ目は、「カーボンニュートラル」に寄与する様々な技術を提案するカテゴリー。また、工場は必ずしも新築ではなく、部分的に増築・改築・改修していくという面もあるので、「リニューアル」というカテゴリーを設け、リニューアルすることで脱炭素化を実現した事例などをご紹介しました。そして4つ目は、「地域や自然との共生」というカテゴリー。5つ目がデジタル技術を使って工場をスマート化していく「スマートファクトリー」。これは、実際の生産設備そのもののスマート化もそうですが、それ以外に施設を維持管理していくための手間をいかに省いて、施設の維持管理をいかにして簡単に、スマートにできるかという取組みや技術を紹介しました。そして最後に、工場で働く人たちが安心して心身ともに健康に働けるための「ウエルネス」というカテゴリーですね。展示ブースは、来場された方が、各自の課題に対するソリューションが見つけやすいように、これら6つのカテゴリーに分けた構成にしました。
ー展示のキャッチコピーなどは工夫されましたか。
山﨑 今、多様性という言葉をよく耳にしますが、生産施設も時代、時期で製造するモノ、製造方法、そこで働く人たちの価値観、ひいては企業が持つ価値観も変容していくと思っています。そういう中で、変化する様々なニーズに柔軟に応えることができる施設を提供していかなくてはいけないということで、我々は「カーボンニュートラル時代にしなやかに応える工場づくり」を、メインのキャッチコピーとしました。
ーなるほど。様々なソリューションをお持ちの御社だからこそ、多様な課題にも柔軟に対応ができるということですね。
山﨑 そうですね。我々は、課題に対して必ずしも最先端の技術で対応すべきということではないと思っています。すでにある技術のコンビネーションだったり、新しい発想を少しだけ加えたり、今までにない視点から技術を再構築することで対応できる課題もある。そういうちょっとした工夫がご提案できるのも、多岐にわたる技術を有する我々ゼネコンならではないかなと思っています。
ー展示会ご出展の目的を改めてお伺いしてもよろしいですか。
渋谷 当然顧客獲得もあるんですが、それだけではなく、大成建設が持っている環境配慮の技術、カーボンニュートラルの技術を強くアピールできる場として活用するという側面も大きかったですね。「グリーンファクトリーEXPO」は今回が第1回目ということでしたが、我々が ZEFの第1号として沖電気工業さんの工場を竣工してすぐだったこともあり、そういう意味でタイムリーでもありました。
ーそうでしたよね。ちなみにご出展いただいた成果としてはどのような点があげられますか。
渋谷 我々はいろんな部署がいろんな技術を持っていて、カーボンニュートラルの技術も各部署がそれぞれに取り組んではいるんですが、それを今回の展示会を通じて一つにまとまった形でご提案できたという点がすごく有意義でしたね。
ー社内全部署合同で多様なソリューションをお客さんに知っていただく機会は、やはり貴重なんでしょうか。
渋谷 そうですね。各本部、部署ごとに取り組んでいることを、部署を横断して一緒になって取り組む機会というのは、私はあまり経験したことがないですね。
山﨑 大きな企業はどこもそうだと思うんですけど、例に漏れず我々も情報共有が縦割りになりがちで。
社内でできるだけ情報共有するようにはしていますけど、この展示会を通して、他の部門の取組みについてあらためて深く知ることができたので、とてもよい経験でした。
ーありがとうございます。お客様の反応や反響はいかがでしたか。
渋谷 お陰様で当日も含めてかなりの数のお客様からお問い合わせや質問をいただきました。特に展示で実際に利用した照明などの実機はインパクトがあったようで、興味を示していただいたお客様との具体的な展開も見えてきつつあります。
名古屋と東京の両方に出展したんですが、名古屋では1025人、東京では1159人と多くの方々が弊社ブースにご来場いただきました。
ーそれだけの人数を集客できたポイントや、工夫された点などがあれば教えていただけますか。
渋谷 個人的には、名古屋と東京の両方に出展したので、名古屋の経験を活かして東京にフィードバックできたのが功を奏したという印象です。その辺りの工夫をしたのは、実は山﨑率いる展示デザインチームなんです。
山﨑 そうですね、今回も弊社の木質の技術を使ってブースを構築したんですが、最初から名古屋展と東京展の両展示会への出展は決まっていたので、名古屋と東京でまったく同じブースではなく、少しトランスフォームさせたいと考えました。それを小さな空間でもよいので木質建築の独自技術を使って、実績をつくりたく工夫をしました。
また、先ほど渋谷からもお話があったように、名古屋での展示に対する社内関係者アンケートを実施し、そこから反省点・改善点を抽出しました。それを踏まえて東京展では、展示レイアウトからコンテンツ、ブースのデザインに至るまで様々な改良を加えました。
ーどのような点が反省点だったんでしょうか。
山﨑 名古屋展では実物の展示が少なかったことが反省点として挙がったので、東京では実物展示の数を増やしました。また、展示コンテンツの見せ方として、名古屋展では比較的内向きで、とにかく中に入ってもらってからブース内のコンテンツやプレゼンテーションを見てもらうというレイアウトだったんですが、敷居が高く感じるのかなかなか中に入ってきてくれないという反省点がありました。そこで、他社さんのブースも参考に、外に対して大きく開いた構成・レイアウトに変更しました。名古屋展でのレイアウトの内外を裏返して、ブース内のアクティビティを外からも見えるように、積極的に外側に向けて発信したという感じですね。
信藤 ブースのデザインそのものも山﨑のチームが担当したんですが、なかなか他にはない形に仕上がったと思っています。
渋谷 結構インパクトのあるブースになったのかなと思っています。
ー確かに、かなり目立っていました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
※本ページに記載の出展社数・来場者数・国数は同時開催展を含む最終見込み数字であり、開催時には増減の可能性がございます。
※HP内の写真は過去開催時の写真を使用している場合がございます。